Betweens Passport Initiative

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「移民」の若者たちとワークショップをしている様子。大勢の若者が椅子に座って、前に立っている人の話を聞いている
  • 共催事業

異なる文化をつなぐ「移民」の若者たちとともに

「移民」の若者たちを異なる文化をつなぐ人材と捉え、アートプロジェクトを通じた若者たちのエンパワメントを目指す。定時制高校と連携し、部活動として「移民」の若者たちの居場所づくりや、学外でのアーティストとのリサーチやワークショップの実施。その運営を若者「ユース(Youth)」メンバーがともに担うことを通して、人材育成とコミュニティづくりを行う。

実績

Betweens Passport Initiativeでは、「移民」の16歳から26歳の若者たちを対象としている。ここでの「移民」とは、多様な国籍・文化を内包し生活する外国人のことを指す。日本での社会生活において「できない」ことが指摘されることの多いかれらに、自らが「できる」ことを見つけるための機会をつくることを目指した。

2016年度から、都立の定時制高校と連携し、多言語交流部「One World」の活動を通して「移民」の若者たちの居場所づくりを行ってきた。高校中退率や、卒業後の進路の未決定率の高さに垣間見える、高校生の「孤立」という課題に対して、学外のメンバーがかかわり、学び合いの場をつくることで、学内でのコミュニティづくりを試みた。運営は高校とNPO、大学の3者が手を組み、アーティストなどの外部講師によるワークショップや大学の留学生との交流など多様なプログラムを展開した。その3年間の活動での気づきや、問題背景、具体的なプログラムの内容は『Stories Behind Building Community for Youth Empowerment 高校・大学・NPO の連携による多文化な若者たちの居場所づくり:都立定時制高校・多言語交流部の取り組みから』にまとめられた。

学外でのコミュニティづくりとして、港区にあるSHIBAURA HOUSEを拠点に「移民」の若者たちを軸としたインターンプログラムも実施している。Betweens Passport Initiativeのプログラム運営をともに行うだけでなく、インターンからの提案を受け、大学教員など外部協力者とともに、自分たちの進路や強みを考えるリサーチやワークショップなどを行った。

2018年度に開催した外部の専門家などを招いた議論の場である「Sharing Session」では「移民」の若者たちのリーダーシップを育む環境づくりがテーマ。国内での「移民」が抱える課題に向き合い、その当事者である若者たちをエンパワメントすることを目的にはじまった本事業は、「移民」の若者たちがリーダーシップを発揮できる未来の社会像を思い描くことで共催期間を終えることとなった。

東京アートポイント計画との共催終了後には、一般社団法人kuriyaの代表・海老原周子の10年にわたる活動や日本の「移民」を巡る状況をまとめた書籍『外国ルーツの若者と歩いた10年』を発行した。本書には、海老原が想像した2030年の多文化共生社会の姿も収録している。

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